国家公務員共済組合連合会広島記念病院

排便機能外来Defecation function outpatient

診療科について

便秘・便もれ いっしょに解決しませんか?

慢性便秘症や便失禁に対する治療はここ数年で大きく進歩しており、かつては治療困難であった病状でも治せる可能性が広がっています。

概要

排便機能外来とは

排便の悩みから解放され自分らしい生活を取り戻していただけるよう、一般診療ではほとんど受ける機会のない排便機能に特化した検査や治療を提供することができる専門外来を立ち上げました。

慢性便秘症や便失禁で悩んでいる人の中には、外食や旅行を控えたり自分に自信が持てなくなるなど、生活の質に影響が出ている方もいます。恥ずかしさや他人に知られることへの抵抗感から、誰にも相談できずに一人で悩んでいることも少なくありません。

当院の排便機能外来は、3ヶ月以上継続して排便機能障害で悩んでおられる人を対象とした、完全予約制の専門外来です。急に便秘になった方や、急に下痢になって便失禁をきたした方は、他の消化器疾患が原因である可能性が高いため、一般外来を受診してください。

排便機能障害とは

便秘

便秘とは、「本来体外に出すべき糞便を十分量かつ快適に排便できない状態」と定義されています。つまり、毎日排便がなくても十分量かつ快便に出せていれば便秘ではありませんし、毎日排便があってもすっきり出ていなければ便秘であると言えます。

便失禁

便失禁とは、「無意識または自分の意志に反して肛門から便がもれる症状」と定義されています。便意を感じてもトイレまで我慢できずに漏れる切迫性便失禁と、便意を伴わず気づかないうちに漏れる漏出性便失禁とがあります。

便秘や尿失禁の原因

慢性便秘症

慢性便秘症の原因として、生活習慣や心理状態の影響、加齢、他の疾患の影響、他の疾患の治療で使用している薬の影響、過去の手術の影響、下剤の使いすぎで効かなくなる、間違った排便姿勢、間違ったいきみ方、などが挙げられます。その結果、便が腸の中を通過する時間が長くなってしまったり、便が直腸まで来ているのにうまく排出できなかったりして、便秘になります。

便失禁

便失禁の原因として、生活習慣や心理状態の影響、加齢、出産歴、他の疾患の影響、他の疾患で使用している薬の影響、過去の手術の影響、などが挙げられます。その結果、肛門を締める筋肉の機能低下、直腸肛門の感覚異常、直腸の容量の減少などが複合的に関与して、便失禁をきたします。

排便機能障害の検査について

問診と、腹部および肛門部の診察のほか、一般的な検査として血液検査やレントゲン検査、大腸内視鏡検査があります。
専門的な検査としては、直腸肛門内圧測定、排便造影検査を受けることができます。

直腸肛門内圧測定

細い管を用いて、安静時に無意識に肛門が締まっている状態での肛門内圧や、意識して締めたときの肛門内圧などを測定する検査です。肛門を適切に締めたり緩めたりできているか調べる事ができます。

排便造影検査

検査室に便器を置き、直腸に注入したバリウムを便の代わりに排出する様子を、レントゲンで撮影する検査です。隣の部屋から撮影装置を操作するので、検査室の中にはあなた一人であり、実際に排泄している姿を見られるわけではありません。レントゲン画像の動画を撮影し、直腸や肛門の動きを評価します。

排便機能障害の治療について

内服薬による便の性状や便通のコントロールも行いますが、食事・生活・排便習慣の見直し、排便姿勢といきみ方の指導や、骨盤底筋群の運動訓練などを行い、排便状況が改善してくると薬を減らしていける方も多くいらっしゃいます。これらの治療で十分な改善が得られない場合には、以下のような治療法がありあります。

骨盤の支持組織が緩んで、直腸が肛門から脱出する人(直腸脱)や、いきんだときに直腸が膣の方に押し出されて便が十分に肛門から排出できない人(直腸瘤)など、構造的な問題に対しては手術療法を行うこともあります。

バイオフィードバック療法

直腸肛門内圧測定の機器を用いて、肛門を締める筋肉がうまく使えているかを視覚的に確認しながら、筋肉の収縮訓練を行う治療法です。

仙骨神経刺激療法

心臓のペースメーカーのような機械を殿部に埋め込んで、排便に関与する神経(仙骨神経)を継続的に電気刺激することで、便失禁の症状を改善させる治療法です。